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外灘・バンド

  黄浦江と蘇州河の合流点から南の金陵路までの中山東一路沿いの黄浦江西岸は、外灘(英語名:Bund(バンド))と呼ばれ、かつての租界時代、ここは上海の中心地であった。いまも当時の建築物が数多く残されており租界時代の面影を色濃く残す地域でもある。また黄浦江の対岸には、上海の中でも今最も急ピッチで発展しつつある浦東新区の中心、陸家嘴金融・貿易開発区の高層ビル群と上海のシンボル的存在、東方明珠タワーを望むことができる。
 黄浦江はさまざまな船が忙しく往来し、時折聞こえる汽笛が雰囲気を盛り上げてくれる。夜はライトアップされ、1世紀近く前の建築物が幻想的に浮かび上がる。古い上海と新しい上海が一ヵ所に凝縮された外灘は上海一の観光スポットということができよう。

バンドの由来
 バンドとはそもそも人工の土手や堤防を意味する。イギリス統治下のインドで、港岸のウォーターフロント地域がバンドと呼ばれていたが、上海の外灘地域も同様な地形であることからここもバンドと呼ばれるようになった。

黄浦江
 黄浦江は、上海市の中心を北(後方)へ流れ、長江と合流する長さ84kmの川。黄浦江の両岸及び長江岸の外高橋保税区岸が上海港と呼ばれ、3万トン級の船が出入り可能な国際河川港である。上海港のコンテナ取扱量は中国で一位、世界でも十二位の規模を誇る。なお、さらに大きな船は上海から南西約250km程度(直線距離では150km程度)の寧波を利用している。黄浦江の対岸には、浦東新区陸家嘴金融貿易開発区の高層ビル群とアジア一高い東方明珠タワーが望める。
 南京路と交わるところには、上海市の初代市長である陳毅の銅像がたつ。陳毅は1949年5月28日に上海市長に就任した。彼は国民政府との内戦で混乱した経済の立て直し、貧困対策、伝染病の駆除等といった社会問題解決に不眠不休で取り組み「人民の市長」として上海市民の大きな支持を得たという。
 延安路と交わるところのそばに煙突のような建築物があるが、この建築物は、租界時代にはマストのような部分に旗がつけられ、黄浦江を行き交う船に天候などの情報を伝えていた。最上部の十字部分に方位を英語でN・E・S・Wとせず、東・西・南・北と漢字で書いてあるところもおもしろい。この建築物の1階は現在外灘史陳列室として利用されており、古い外灘の写真が収められている。1階部分は9時から17時まで無料で入ることができるが上部には原則的には入ることはできない。ただしお金を払えば撮影のために3階部分に上がることができる。
中山東路を北上していくと、途中福州路と交わる。今は特に特徴のない道だが、解放前は[スマロ(四馬路)]と呼ばれた。あの 「夢のスマロ」である。昔は香水の香り漂う上海一の風俗ストリートであったという。
外灘及び上海のシンボルである古いビル群は50年以上前に建設されたもの。上海一の名所といっていいだろう。現在は、上海市政府の「外灘と対岸の浦東新区陸家嘴を金融センターとする」という政策に沿って、銀行、保険会社、外貨取引センターなどに使用されており、さらにここ数年はブランドショップと高級レストランが入る建物が増えてきている。

黄浦公園
 外灘の北端の黄浦江岸にある黄浦公園は、解放前はパブリックガーデンと呼ばれ、外国人専用であったという。この公園の中に中華人民共和国建設に貢献した人々を記念する人民英雄記念碑がたつ。人民英雄記念碑の建設は上海市人民政府により中国解放1年後の1950年に既に決められていたが、なかなか建設には着手されなかった。1987年に上海市人民大会でようやく建設着手が決定され、デザインの公募等を経て、1994年に落成をみた。

外白渡橋
外白渡橋は1907年の完成で解放前はガーデンブリッジと呼ばれた。租界時代、この橋より北側は日本人居住者が多かった地域で、この橋を北側から南側へ渡ると地域は一変し、一気に欧米的雰囲気溢れる街並に変わったという。
橋の下を流れるのは数年前まで汚染河川として悪名高かった蘇州河である。上海市はこの川の浄化を進め現在ではかなり改善された。
橋の北側、左手に建つ茶色のビルは1934年の完成で、現在は上海大廈(ホテル)、解放前はブロードェイ・マンションと呼ばれ、イギリス人の管理職が居住していたという。

黄浦江の遊覧船
 通常のコースは、揚子江埠頭を出て、右手に外灘の古い建物群、左手に浦東新区の高層ビル群を見ながらゆっくり進む。そして南浦大橋の真下でUターンして揚子江埠頭に戻る。この約1時間の行程は景色をのんびりと見ている間にすぐに過ぎてしまう。 夏ならば、夕暮れから夜景に変わっていく18時過ぎのものがお勧め。
 外灘側から蘇州河を渡り右へ行ったところから出る遊覧船については、乗船場所に注目すべきスポットが一つある。埠頭への道を入って右側に赤い古くて立派な建物があるが、これは租界時代の旧日本総領事館。このあたり一帯は軍事施設とのことで通常は見ることができないものである。
 遊覧船に乗らなくても、黄浦江を横断するフェリーに乗れば船上からの夜景を楽しむことができる。自転車やバイクと人間が混在している全くの生活船で抵抗がある人もいるかもしれないが夜景は美しく、特に夏の夜には夜風が気持ちいい。中山東路と金陵東路交差点のそばから利用する。10分に一本程度の間隔で頻繁に出ている。
 このフェリーは浦東側は楊家渡輪渡站という乗り場につくが、このそばにある公園もまた夜景スポットだ。黄浦江に沿っているので、対岸の租界時代の建物群を一望することができる。夏の夜は恋人達のデートスポットとなる。
夜景が最も美しく見えるのは延安高架道路からであろう。延安高架道路は上海市を東西に貫通し、外灘に突き当たると大きく左にカーブし中山路に合流する。この左に曲がる部分から外灘の古い建築群を一望できる。高速道路の上なので歩いて入ることはもちろんできないし、また写真を撮るために車を停止させることもできないので、延安高架道路から外灘に出る直前にカメラの準備をし、短いシャッターチャンスを逃さないようにしよう。

外灘の夜景
 季節にもよるが、夜7時頃から10時まで外灘の建物群がライトアップされ幻想的な姿となる。また、黄浦江対岸の浦東新区の東方明珠タワーと摩天楼群の明かりもきれいだ。夜景の楽しみ方は外灘の遊歩道を歩くのが基本だが、それ以外にもいくつかのスポットがある。

外灘から浦東新区へ
 外灘の対岸に位置する浦東新区陸家嘴は本来ビジネス街だが、東方明珠タワー、金茂大廈等いくつかの観光スポットがある。もちろん日を改めて訪れてもいいのだが、外灘からすぐなので外灘観光のついでに足を伸ばすのもいいだろう。外灘から陸化嘴へは「観光隊道」を利用してゆくことができる。観光隊道は外灘と陸家嘴との間を移動する旅行者向けに作られたもので、黄浦江の下のトンネルを無人で運行される10人乗り程度の小さな乗り物である。全長646.7メートルでほんの5分ほどの道程。
 南浦大橋は黄浦江をまたぐ4つの橋のうちの1つであり、その 美しい姿は北に位置する揚浦大橋と並んで上海人自慢の建築物のうちの1つである。2001年初に白く塗られ、それまでのコンクリート剥き出しの姿から白亜の吊橋に生まれ変わった。黄浦江を行き交う船や陸家 嘴金融貿易開発区の摩天楼を一望することができる。
 

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