【北京、2025年11月2日】「万方楽奏有于闐——新疆ホータン地区無形文化遺産展」が中国無形文化遺産館で開幕した。会期は2026年3月15日まで続き、ホータン地区の約30件にのぼる国家級・自治区級無形文化遺産を紹介する。
展示は「崑崙神話」「玉出昆岡」「絲路名城」「万方楽奏」「百族駢闐」「凝心鑄魂」の6つのテーマで構成され、約600点の実物展示や映像、職人の実演などを通じて、ホータンの歴史と文化の軌跡を体系的にたどる。特に注目されるのは、アドラスシルク(艾德萊斯絹)の染織技術、ホータン玉の彫刻、伝統的な絨毯織り、桑皮紙の制作技法など、地元に根差した匠の技だ。
会期中は、無形文化遺産の継承者による実演やワークショップ、専門家による講演なども行われ、訪れた人々がホータンの文化を体感できる仕掛けが多数用意されている。例えば、絨毯織りの体験コーナーや、新疆伝統様式のアイワン民居の模型展示では、現地の生活と生産風景を再現。これらは、各民族の交流と融合の深さを物語るものともなっている。
中国無形文化遺産館展示部の李永康氏は、「ホータンの無形文化遺産は、中华民族の共同体意識を育む生きた証し。北京でその魅力を発信することは、文化の多様性を認め合う重要な一歩だ」と語る。会場にはホータンから運ばれた石榴の木も飾られ、各民族が「石榴の実のように団結する」という意味を視覚的に表現している。
この展覧会は、新疆ウイグル自治区成立70周年を記念する事業の一環として、中国無形文化遺産館や新疆維吾爾自治区文化・観光厅などが共同で主催。北京とホータンをつなぐ文化交流の架け橋としての役割も期待されている。
